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ファン化世界観レター011「天使の万年筆」

  • 執筆者の写真: 三上吉昭
    三上吉昭
  • 2018年9月13日
  • 読了時間: 4分

「こんなお店や会社だったらファンになっちゃう!」という世界観をお伝えするお手紙シリーズ。

東京南青山にひっそりとたたずむ万年筆専門店「書斎館」。そこが販売している「天使の万年筆」をご紹介します。

少し長くなりますが、是非最後までご覧になってくださいね。

 

数年前に、このお店が提供する大切な何かに惹かれ、今ではお気に入りの道具になっている万年筆を開発するという構想をお聞きし、ずっと気になっていました。


久しぶりにインクを補充に行ったときに尋ねてみると、完成品としてできあがっているとのこと。

ワクワクしながら、さっそく拝見させていただき、その存在感に言葉では表せない不思議な感動を覚えました。


書斎館のオーナーの赤堀正俊さんは言います。


「昨今、静かなブームといわれる万年筆も、道具として不便なことから、使う人の数が一時期に比べ激減しました。筆記具も便利になり、自分の意思で書くことを止めない限り、いつまでも書けるようになりました。


万年筆のインクが無くなったときの”道具が止めてくれる時間”、そんな一見無駄と思われる時間を楽しむことができれば、忙しい毎日の生活が変るかもしれない。

そのような考えから、私たちの想いを広げ伝えるために”Heart Line(心の軌跡)”という名前のプロジェクトを立ち上げました。


そのメンバーと行った新年会で、若い人たちが生まれたばかりの自分の子供の写真をみせあい、我が子の話で花が咲きました。

そのときにひとりの男性メンバーが言いました。


『実は子供に万年筆で日記を書いているんです。このプロジェクトに参加してペンを購入しなかったら、このような気持ちにならなかったと思います』


『え!いいねー。でも毎日書くの大変でしょう?』


『毎日ではなく、書きたいときに書いているので苦になりません。毎日書かなくてはと思うとプレッシャーになってしまうので、間隔が空いたなぁーっと思って書くことがないときは、息子の名前だけ書くこともあります』


『素敵』


『子供が大きくなって読んだら感動するよね』


『うちも、やろう!』


成人した子供を持っている親は、『いい話だよね。書けばよかったなー』


この会話から、書斎館オリジナル純銀製万年筆、通称”天使の万年筆”の発想が生まれました。

そのコンセプトは、子供が生まれたら万年筆を買い、その万年筆で我が子に手紙を書き、手紙とペンを封印して子供が成長したらプレゼントするという万年筆。


子供が成人する20年後に黒く酸化した純銀のボディーを磨く。

浮き上がる万年筆のボディーに刻まれた天使のストーリィーを感じながら、親からの手紙を読んでいる。

その子がまた自分の子供に万年筆をプレゼントして、50年後、100年後に開封している・・・。

そんなシーンを夢見ながら、試行錯誤の連続で万年筆の製作は進んでいきました。


子供が成長する間には様々な出来事があるだろう。

成長した後に、生まれた当時の親の愛を知ることができれば素敵だなと考えていました。


文字を書くためのPenの語源は、Penna鳥の羽根・・・天使の羽根。

愛する想いを”天使”で綴ることができればという想いを込めて”myth神話”という万年筆が生まれました。


愛に包まれ誕生した我が子。その愛する想いを綴った手紙を添えて、書き記した万年筆mythと共に封印する。


そして我が子が大人になった日に解かれる愛の封印。そんな素敵な一頁を夢見て、mythは生まれたのです。」





20年という時間の流れの中では、もしかすると、子供がグレたり、反抗したりしていることもあるかもしれないけど、この手紙を読んだとき、きっと心が動いてくれる。

親や家族も一緒にいるとは限らないけど、少なくともこの高額な万年筆を買ったその瞬間の子供へ向けられた愛は、確かなものとして残っているはずだ、と赤堀さんは考えました。


発売以来、様々なお客様がこの万年筆が紡ぐドラマの共演者となったそうです。


3歳未満のお子様がいる方が、もう少し早く知っていれば生まれたときに書けたのにと言いながら、まだ間に合うかなと買っていったり、結婚前のカップルがまだ見ぬ子供を想いながら買っていったりしているそうです。



参考文献:「GIFTの法則」平野秀典(日本経済新聞出版社)


 


素敵な「ストーリー」が詰まった万年筆ですね。

「ストーリー」が無い純銀の万年筆だったら、売れることはなかなか無いかもしれません。


想いがこもった商品やサービスは、人の心を動かします。

心が動いた時、人はいつもと違った消費行動を取ります。


たとえそれが高い買い物であっても、「それが欲しい!」と思えば、人は購入するのです。


そしてきっと、このような想いを込めた商品やサービスを作った人のファンになるでしょう。私もそんなサービスを提供できる人でありたいと、常に思っています。



今日のファン化世界観はいかがでしたか?^^

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